2010年 08月 13日
映画「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」 |

映画「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(Revolutionary Road, 2008・米/英)
フランク(レオナルド・ディカプリオ)にとっての父親の存在の大きさが、印象的に描かれていた。DVDの特典映像を見ると、フランクが父親と過ごした時間の回想シーンがもともとは含まれていたらしいが、劇場公開版ではカットしてしまったらしい。思い切ったことをするものだと感心する。自分は父親を超えられるかもしれない……フランクのこの静かな期待と興奮が、パリに行くという破天荒な計画よりも、ずっと現実的なものとして彼の内部を支配してしまったことは、じゅうぶんに理解できることだ。チャンスは一度きりだ、それを逃すな、だなんて単純なメッセージをこの映画は伝えているわけではない。
いずれにせよサム・メンデス監督の映画は、「アメリカン・ビューティー」のときのように多分に文学的だ。一度見ただけではわからない、何度も繰り返し見てはじめてわかってくるような素敵な隠喩がさまざまにちりばめられている。
精神を病むジョン(マイケル・シャノン)が、エイプリル(ケイト・ウィンスレット)の内心をずけずけと言語化したことがきっかけで一気に悲劇へと傾く最後の展開は、見ていてつらいものだった。その悲劇と対比するように描かれるのが、ラストシーンの老夫婦。辛辣なブラック・ジョークで、おいそれとは笑えない。でも、こんなものが夫婦なら、何のためにそもそも人は結婚するのか? ぜひこの映画は結婚前の若い人に見て欲しいと思った。こういう映画を一緒に見て、語り合えるカップルが良い。
舞台となる1950年代のアメリカが、現代の日本と似ていたので驚いた。ところかまわず煙草を吸う人々。ほとんどモノ扱いされる女性たち。みな同じスーツを着て、混雑する駅を黙々と通勤するビジネスマン。そこに潜在する狂気に比べたら、真実を臆面なく語るジョンの狂気は、なんとうらやましく、美しいものだろう。
-hiraku-
Director: Sam Mendes
Writers: Justin Haythe (screenplay), Richard Yates (novel)
Cast:
Leonardo DiCaprio ... Frank Wheeler
Kate Winslet... April Wheeler
Kathy Bates... Mrs. Helen Givings
Michael Shannon... John Givings
Kathryn Hahn... Milly Campbell
David Harbour... Shep Campbell
本ブログ内の他の映画評:
● 「アメリカン・ビューティー」
● 「ミリオンダラー・ベイビー」
● 「アマデウス」
● 「ミュンヘン」と「戦場のピアニスト」
● 「ダークナイト」
● 「ナルニア国物語第1章」
● 「ビッグ・フィッシュ」
● 「ロリータ」
● 「ハゲタカ」
● 「笑の大学」
本ブログ:TOP
by hiraku_auster | 2010-08-13 17:32 | 映画
